2007年7月6日金曜日

映画「ダイ・ハード4.0」DIE HARD 4.0

於MOVIX亀有

マクレーン不死身すぎ。
そういえば「アンブレイカブル」なんて映画に出てたね。

さて、ぼやっと楽しむには最適なアクション映画。
設定も物語も新鮮味がない。相変わらずこのシリーズの悪者連中って、結局はカネなんだよね〜。
計画が成功したらアメリカの富の大部分を手中にって、そんなにいらないだろ!何買うんだ!
そんなにお金があってやれる事って、医療費無料化とか、森林を買い取って保護するとか、ああ、いいことしか思いつかない。
もっと国家予算以上のお金を使えるんだから、火星に行く!とか。ロマンですね〜。悪党のする事じゃないですね。
あんまり金額がでかいと、顔の見える悪者の所有物にさせるってのはピンとこない。大きな組織やシステムを維持拡張するためだったらまあ分かるかも。
シリーズ重ねるごとに仕掛けも金額も大きくなってるのだから、ここらで発想を逆転させて、金をねらってると見せかけて何か別の目的があるとか、そんなでもいいんじゃないですかね。

アクションが派手なのはいい、というか仕方ないとしても、そうなるように導くシナリオがちと弱い。
本来マクレーン刑事は仕事に関しては「素早い判断力」「カンが働く」「正確に先を読む」といった能力をもってたはずで、プラス見栄を切るカウボーイヒーローだからよかったのだ。
それが本作では、危険に際してカンが働くのは確かとしても、あまり考えないで行動しているフシがある。
端的な例がマギー・Qをやっつけるのに車で突入するところ。あのシーンではジャスティン・ロングがすぐにも殺されるかも知れないから、あえて車を使うような、ゆうちょうな事やってる場合じゃなかったはずだ。
車でガラスに突っ込むとなると前方がよく見えないので狙いが正確にならないし、エレベーターシャフトまで押して行ってそのまま落下だなんて自ら招いた危機じゃないですか。
なぜあそこで車を使うのか?時間的切迫をないがしろにしてまで。
ひとつは、派手なアクションを見せたかったから。数分に一度、目の覚めるようなアクションを入れたいから、ここは車でガツンですよ!と。
もうひとつは、技でかなわない相手を力で倒すのがアメリカ流だから。
しかし力でかなわない相手を機智と機動性で切り崩すのがマクレーンではなかったのか。
マクレーンのキャラクターが愚鈍なものになると緊張感が薄れてしまう。

優秀な刑事というより、乱暴なおっさんになってしまった気がする。あんまり優秀すぎても別人だけど。
キャラクター面だけを見てもなんだか殺伐としている。ほろっとさせなくてもいいけど、ガミガミ言うだけのマクレーンではなくて、相棒とのやりとりから性格や志向がちらちらっと見えるといい。新鮮に見えるのが理想。
対等の相棒であった「ダイ・ハード3」のサミュエル・L・ジャクソンとのやりとりはよかったなあ。

この映画の"危機"はIT関係がマヒして操られることなのだけれど、なんか映画的には「不便だねえ」「困ったねえ」ぐらいで、飛行機が落ちるとか小学校が爆破されるとかに比べたら、ちょっと弱い気がする。
だからアクションを大掛かりにしてるのかな。しかし「初めにド派手アクションありき」にして、後から設定や物語を考えるとなると、そもそも荒唐無稽な映画になりがちで、このようなリアルな危機、リアルに見せたい危機を題材にした映画は難しいのかも知れない。

リアルさがあまりないアクションといういのはドタバタ劇ですね。この映画もそうなりかかっているのだけれど、寸前で持ちこたえている。
飛んでいる戦闘機の翼に乗るシーンとかね。あれってすごいけど、映画に必要なのかな。マクレーンの不死身っぷりが強調されるだけだよなあ。

まあ、2時間ふつうに楽しめる事は楽しめます。
しかし、マクレーンだけを見ても、なんだかちょっとさみしいキャラクターになってしまったなあ。


音楽がマイケル・ケイメンかと思いきや、おおっと、マルコ・ベルトラミ!
ケイメン風をちゃんと踏襲していながら自前のカラーを…でもないのかな。よくわかんないな。映画見てて音楽にあまり意識が行かなかった。エンドクレジットはひたすらベルトラミ節でした。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

やっぱり恐れてたとおりのようです。私はまだ見てませんが、ヨッシーさんのコメントでこの映画のほぼ90%以上が想像できるような気がします。いずれ見るとは思いますが・・あまり期待出来ないようですね

ダーティーハリー、エイリアン、リーサルウェポン、ダイハード、用心棒…
結局映画は続編を作るべきでは無いのかもしれません

イイッ!
と言われるゴッドファーザーpart2やターミネーター2でも1にはかなわないと思います

作り手は観客が期待してるだろう(実はそんなにしてない)より派手なアクション、より大掛かりな舞台設定、より複雑なストーリーに走ります。でもそれらはシンプルな一作目を超えられません。


1は傑作です。だから2が作られます。2は1と同じことは出来ない。でも1を踏襲しなければならない。
ある種自由に作られた一作目に対し、続編というのは最初からハンデを背負ってるのかもしれません。

yoshinaga hiroshi さんのコメント...

僕は「ダイ・ハード3」好きですけどね。
1もいいけど何度も見てたら飽きちゃった。ってそりゃ大抵の映画は何度も見ればそのうち飽きますね。
3の映像がいいですね。撮影監督がいい仕事してます。映画の"貫禄"を感じます。
4.0はカメラマンもがんばってるけど、今風の映像だけど、特別な美しさはないですねえ。

ただもうアクション映画を見たいんだというなら、それなりにいい映画です。
まあそうやって、期待しないで見るくらいが丁度いいですよ。だからもう見ても大丈夫!