2007年9月17日月曜日

小説「なつかしく謎めいて」
changing planes

数少ないハードカバーの蔵書です。
本屋行っても文庫本コーナーしか行かないから、こういう新刊があるのを知らなかった。
通販サイトがなかったら知らないままだったろうなあ。
本屋でSFの情報仕入れると言っても、ハヤカワと創元SFのコーナー見るだけだから。

「なつかしく謎めいて」Changing Planes
2003年 アーシュラ・K・ル=グィン著 谷垣暁美訳


ル=グィンのファンです。
読むという行為をわくわくやらせてくれる。
ハヤカワSFと「ゲド戦記」しか読んでませんけど。
これはSFとは違いますね。科学的な考察もあるからSFっぽい印象もあるけれど、科学的なもう一歩よりも文化的なもう一歩の方が踏み込んでいるので、「文化人類学的なファンタジー」とでも言いましょうか。
おもしろいです。

異質な世界の異質な文化を描く、軽い読み物?軽いのかこれ?
次元間を移動する新方式によって、多くの人が別世界を「観光」するようになった現代社会。
現在のアメリカの中年女性(おそらくル=グィン自身がモデル。ちなみにグィンは1929年生まれなので今現在は中年と分類されないでしょう)があちこちの世界をのぞいて、そのレポートのようなものを書いたり紹介したりしている。
それが15のエピソードになって読みやすい長さ文体なのだけれど、異世界の文化を扇情的にならずあっさりざっくり書いていて、たまにドキっとする。

僕はこういうお話大好きです。自分でもこういう空想はします。
それで設定ばかりでストーリィのないSFができるんだな。
どころがこの小説はそんな味気ないものではない。小さなエピソードがよりリアルに異文化の感覚を伝える。うまいんだね、文章が。って何十年もプロの物書きやってる人にそんな言い方失礼ですか。

0 件のコメント: