2010年1月25日月曜日

映画「アバター 3D」avatar

於TOHOシネマズ西新井

予告編を見て「またこんな映画か〜」と思ったけれど(ハリウッド的な、アメリカ人に解りやすく都合のいいSF)
なんか売れてるみたいだし、3Dだから、見てみました。

アバター 3D
avatar
2009年 アメリカ映画
監督 ジェームズ・キャメロン

案の定、モロにハリウッド的な、安直文化映画でした。
さて何から書いたものか…

文明と文明の対立を描いているにも関わらず、一方の文明の尺度でとらえやすい感情しか描かない。
たとえSFじゃなくても、異文化を描く映画としてはつまらない。SFとあらばなおのこと。

特にひどいのが「勇敢に戦って死ぬのが美しい」という感覚を全面に出すあたり。それは地球上でも一部の人しか感じてない事なのに。
他の惑星の原住民でさえそうなんだ、あれはかっこいいね、と言ってるようなもので、
作り手に「これがわかりやすい面白い映画なんだ」という認識があるんだろうけれど、異文化を描く映画としてはつまらない。
異文化を描いてるつもりでも、自分たちの感覚が普遍的なものだと主張する。悪意がないだろうから始末に悪い。

例えば、原住民はなんだかぽやぽや〜っとしたままで、海兵隊が内乱を起こしてしまうとか(何かの化学作用でもあって)、そんなのもありかと。
地球の軍人同士の戦いなら「壮絶に死ぬのが美しい」というのもわからないではない。

強大な敵に対して、バラバラだった部族が一致団結して戦うってのも地球的発想ですな。
それまで団結して戦うなんてやった事なかったろうから、あんな短期間で組織的に整然と動くなんて…、できなかったから虐殺されたのかな。

団結させるために、赤いトリに乗ってカリスマを得る、ってそれはいいんだけど、団結させてどうするというビジョンが甘かった、というかあまり先の事は考えてなかったみたい。
もともと「どうせかなわないんだから逃げろ」と言っていたのに、
それが「団結して戦おう」と主張変更するからには、何か海兵隊に対して有効な手段があるのだろう、元海兵隊なんだし、と思ったら何にもないのかよお前!
そのために赤いトリに乗って、原住民を信用させてタチが悪い。

経験を得てリーダーとして成長する、という事がまるでないんだな。
でもむやみに設定上のカリスマは増える。
見た目のカリスマは、海兵隊の大佐の方がありますが。
SFなんだから人間的な成長とは関係ないドラマにしたっていいけど、そんなラジカルなSFじゃないみたいだし。

それと、
惑星パンドラの植物は高速なネットワークになっていて、惑星全体が神経で覆われているようなもの。
その大きな節を攻撃すると…どうなるの、どうなるの…
動物が暴走して、トリが大挙して海兵隊を襲ってくれる…何だよそれ!
そんなの、地球の神様が今までの映画の中でさんざんやってるじゃん!

どうせ異文化を描かない、描けないんだったら、
未来の海兵隊をもっと細かい描写で見せてくれたら、それもそれで面白かったろうにね。
ミッシェル・ロドリゲスはまたもこういう役。いいんですけどね。
しかし、これって脱走&反乱じゃん。
脱走の時点でもう地球に帰れないって事で、マスクなしでは生きられない惑星にずっと住まなきゃならないのだが、この人達はそれを覚悟していたのか?未来の海兵隊員は先の事を考えないのかな。

蜂起した原住民に脱走兵が加わるわけなのだか、ゲリラ戦が何十年続くかわからないのだから、フツーはヘリコプター温存するでしょう、
特に、地球人にとっては貴重な移動手段なんだし。
それを緒戦に投入してあっさり爆死だなんて。いや、未来の海兵隊員は先を考えないんだってば。

とまあ、文化・文明について考えてしまうのであれば、ツッコミ所の多い映画ではありますが、
アメリカ映画として、ハリウッド映画として割り切って見れるなら、充分濃い映画で、3時間なんのたるみもなく見られます。
僕の知人は「ナウシカ+マトリックス+シャア専用機で面白おかしい」とメール送ってきたくらいです。
専用機はちょっと違うかな。もっともあれは大佐の専用機かも知れませんね。
もうひとつ不満があった。
ロボットの戦闘での使い方が「エイリアン2」の時と基本的に変わらないのがちょっとね。
「エイリアン2」は戦闘用ロボットじゃなかったけれど、基本的に使い方、生かし方は一緒。アニメの後追いをしている。
あんなものがそんなに実用的なのか?とも思うし、もっと今までにはないロボットの生かし方、戦闘用ロボットのありかたを見たかったですね。

ま、そういった細かい不満もなく、ハリウッド映画に慣れていれば(オレも充分慣れてるはずなんだが)、それなりに楽しめる映画…というのは2Dの話で、3Dとなるとどうなんだ!?

僕はダメでしたね。
これなら2Dでよかった。
3Dメガネがやや重みがあるので、3時間装着してたら頭が痛くなってしまった。
それでいて3D効果があったかというと、そんなでもない。
場面によっては、出せるはずの3D効果をあえて出してないところもあって、これは全部3Dグリグリだとかえってウザい、という判断でそうしてるんだと思う。
それはそれでいいんだけど、重たいメガネをかけて3時間だから、3D効果絶大のシーンがもっと欲しい。
2Dでもいいんだけど3Dにしてみました、なんてのじゃなくて。

メガネの感じ方は人によりけりだと思うので、3Dで見てよかった、という人もいるでしょう。でも僕みたいに、これなら2Dでいいよ、という人も少なくないと思うんだなあ。

これからは3Dが流行る、って本当にそうなるかどうかわからないけれど、興行する側としては、最初に設備投資が必要でも後はずっとお客さんが300円よけいに払い続けてくれるわけだから、まあ悪くない話だよね。

しかしこの程度の3D効果であれば、僕は2Dでいいなあ。
今後もわりと2Dでいいのかも知れん。

でも「アリス・イン・ワンダーランド」の3D予告編はいい感じで立体効果があったぞ。あれは3Dを見ようかな。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

アバターは見に行くつもりです。
ちなみに3Dはいくつかあって、私が「カールじいさん」を見たReal 3D形式のメガネはそれほど重くないんですよ。それでもウザいはウザいですが。

あんどう

yoshinaga hiroshi さんのコメント...

ごぶさたです。
そんなに重いって言うほど重くはなかったはずなのですが、
3時間となると、やっぱり頭痛くなってしまいました。
3D好きなんだけど、短い映画がいいな。
「アリス・イン・ワンダーランド」はアイマックス版もあるので、それも気になる〜。