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2008年5月1日木曜日

映画「ノー・カントリー」no country for old men

於TOHOシネマズ西新井

殺人者シガー役、バビエル・バルデムだ。
予備知識ほぼゼロで見たので知らなかった。映画を見ていて、おや、この人って…と思ったのだ。
僕は「海を飛ぶ夢」しか見てないからあの映画の30代の設定の彼と確かに似てるそりゃ同じ人なんだから。
へーえ、すごいな。「海を飛ぶ夢」も凄いと思ったけれど、まあこっちは個性的な殺人者役だから、一定以上のレベルの役者なら強烈な印象にはなるんだろうけれど、それにしてもバビエル・バルデムとはねえ。

「ノー・カントリー」
no country for old men
2007年 アメリカ映画
監督 ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン

さてしかし映画の方は、う〜ん、確かに、映画が終わってしばらくはショックのようなものでふらふらしていたけれど、だからと言ってこれが考えされられる素晴らしい映画なのかというと、別にそんなこともないのでは。
犯罪映画、スリラー映画としてよくできているのに、その路線では肩すかし。
「ファーゴ」の路線を拡張したと言えば、確かにそうとも言える不完全燃焼ぐあい。
どうやらその、燃焼しないっぷりもまた重要な表現らしいんだが、映画全体のスタイルが結局はアメリカのよくできたスリラー映画なもんだから、すかすだけでなく明確なチェンジも示して欲しい。
どこか途中でカチっと変わるポイントが欲しい。
モンスター的殺人者とモンスターでは違うのだが、どっちなのか早い段階ではっきりして欲しかった。あれくらいの殺人者ならサイコアクション映画帝国アメリカには大勢いるでしょう。

トミー・リーが往年の追跡者っぷりを発揮してくれないから、どうやらこれは普通の犯罪映画としてまとめるつもりはないのだな、というの予感も薄々ある。
しかしこれなら、この物語なら、本物のラテンアメリカ映画のようなつくりの方が、僕はもっと受け入れやすいし、後々まで記憶に残るだろう。
本物のラテンアメリカってのは変ですかね。だって原作はアメリカ人だから。
本場の、かな。「不条理」をそこにあるものとして描く本場。

でもハリウッド映画だから、スリラーがうまいコーエン兄弟だから、こうなってしまうのは仕方ないのかな。
本当は僕は、コーエン兄弟の巧さに舌を巻きたいんだけど、なんだか「不器用さを見せられない」不器用を感じてしまった。

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