2009年11月5日木曜日

最近読んだSF novels

オートン・スコット・カード
「第七の封印」
1987年
カードの小説は初めて読みました。
面白い!面白いよ〜!
僕は最近、主人公が実は王家の血筋とか、予言の人物だとか、物語の特異点に最初から設定されている話は好きじゃないんだけど、これは面白かった。
やっぱり作家の上手い下手なんでしょうねえ。
なかなか壮絶な話です。ダイナミックな心理表現に引き込まれました。
しかし僕としては、壮絶さよりも、切なさみたいなのにじんときたので、なにもここまで風呂敷広げなくてもいいかな〜、とも思いました。

マイク・ブラザートン
「スパイダー・スター」
2008年
僕はこういう、「超知性体(みたいなの)」に紆余曲折しながら近づいて行く冒険モノって好きだから、基本的にオッケーです。
「落ちる」世界での不可思議な生態系も面白いかと思います。
けど、主要人物のキャラクターがなんだか、フツーでいまいち。魅力的な物語なんだけど、魅力全開に感じられない、感情的な面が何十パーセントか割引されてるような。。

A・E・ヴァン・ヴォクト
「宇宙嵐のかなたに」
1952年
スケールとスピードの50年代SFをたっぷり。
しかしそれでも、印象に残るのは辺境惑星で男女ふたりきりという、ひとときのロマンス。
いやそれで充分、50年前のSFが生き生きとしている証左になりますか。

ロバート・J・ソウヤー
「イリーガル・エイリアン」
1997年
僕のソウヤー体験3冊目。それなりに面白かったです。
ただ、普通の法廷モノと同じようなシーンが多いので、法廷モノの延長に感じられてしまうし、ちまちましたチェスゲームを描くんだったら、もうちょっと緊張感が欲しい。
ラストはスケールアップしてSFとしての溜飲を下げたのかも知れないけど、まあ別に…っていう感じ。
それよりも、あの後の異星での裁判ドラマの方が(アメリカの一流弁護士が異星人の弁護人になる)とても気になる。犯罪の起因、宗教性、民族性などから面白いSFになりそうなんだけど。

ケン・マクラウド
「ニュートンズ・ウェイク」
2002年
記憶のバックアップをとっておけば、何度でも生き返れる未来社会。
(オリジナルの個体は死んでも、コピーが後を引き継ぐ)
でも生き返ることで実生活や社会的地位が微妙に、あるいは大きく変動するのは、考えてみれば当たり前ですね。
僕にとってこういった「死と再生」のSF原点はジョン・ヴァーリィなのだけれど、
こちらはもっとごちゃごちゃとしてて、小道具大道具入り混ぜて、作者の社会学的な妄想展示会になってます。


A&B・ストルガツキー
「蟻塚の中のかぶと虫」
1982年
どうやら三部作の第二作みたいです。
前作を読んでないけど、支障もなく読めます。
巨大官僚社会での自我の押しつぶし、なんて言うと暗い小説みたいだし(日本も似たようなものか)、実際暗いけど、異世界を感じるという点でも読み物として面白かったです。で、SFなんで、官僚なんたらというのは即物的な面。重要なのは精神面とその精神が産まれる特異さ。加えて物理世界が精神に影響も与えて変化させる。その変化の道筋をたどるミステリー、みたいな体裁になってはいますが、犬型異星人のビッグヘッドとか、惑星の住民をまるごとどこかに連れ去る謎の「遍歴者」だとか、他のネタも刺激があって、謎のひとつが解けたところで、大きな謎は謎のまま、ていうか謎のひとつぐらい解けたのか?
続きを読んでみたいけど(読んだところで謎はどうにもならない気もしますが)、今となっては第三作「風が波を消す」は入手困難?図書館にあるかな。

ナンシー・クレス
「プロバビリティ・ムーン」
2000年
「プロバビリティ・サン」
2001年
「プロバビリティ・スペース」
2002年
異文化、および異文化との接触が好きなテーマなので、エンリ属する「ワールド」の共有現実とその消滅を興味深く読みました。
しかしこの小説のミリタリー的な側面は、ふうん、てな感じ。
敵エイリアンをとらえて、ボディ・ランゲージで反応を計るあたりは面白いけど。
「ワールド」の月が実は兵器じゃありませんでした、っていうオチかなあと思ってたけど、やっぱり兵器でしたか。兵器としても使える何かでしたか。
普通のSFでも、ミリタリー色が強くなってしまうんですかねえ。アメリカというお国ですから。
ところでこのシリーズ、日本では昨年12月から一ヶ月おきに刊行されました。
12月に「プロバビリティ・ムーン」を買って、ちょっと読まないでいて、2月に「サン」を買おうと思ったらもう売ってない。「スペース」は売ってるけど。
そりゃあうちの近所の本屋のSFコーナーなんてたかが知れてるけど、シリーズものを順次出してるんだからしばらく置いといてくれればいいのに。
何件か本屋をまわったけれど、売ってなくて結局アマゾンで買いました。
買った本を一ヶ月ぐらい読まないでいるなんてそんなに珍しい事じゃないだろうし、考えもなしに商品入れ替えてるからアマゾンに客を取られるんだよー。

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