2021年1月27日水曜日

映画と小説「刑事マルティン・ベック」Mannen pa taket

もともとこのブログは映画や小説の感想も書く雑記も含めていた気がする。最近はツイッターで済ませるので、もっぱら撮影とか機材に関する記事ばかりになってしまいましたが。

半年くらい前にDVDで見て衝撃を受けた「刑事マルティン・ベック」(1976年 スウェーデン映画)について少々。
ツイッターに書いたので、まずそれを貼ります。

以降のツイート

え、この目つき悪い太ったじいさんがマルティン・ベックなの?違うだろ!ハンサムじゃなくても聡明そうな中年男性にしてくれよ!それに何でこの人たちはこんなにつまらなそうに仕事するの?そりゃ殺人事件の捜査を面白そうにやれとは言わないけど、そんな嫌々ながらやって解決するのかな?

そして、太ったじいさんは撃たれるべくして撃たれる。のっそりたどたどしくハシゴを登り、犯人に普通に撃たれる。誰かこの撮影やめろって言わなかったのかな。お前にそれは無理だって。感情と行動と描写がシュールに噛み合わない結果の悲劇に私は大きな衝撃を受けた

ちなみにマルティン・ベック役はカルル・グスタフ・リンドステット。あちらでは大御所のコメディアンなようです。シリアスな役を演じるからよりリアルなドラマに感じられる、的な効果?いや、納得できねー!もっと若い役者にしてくれ!まあ日本で言えば60歳の高倉健が40歳を演じるようなものだろうけど

俺のイメージするマルティン・ベックとのあまりの違いと衝撃のラストにより、入手した小説「唾棄すべき男」を読む事ができなかった。これを今読んではいけない… 映画を見てから半年ほど経った今、やっと小説を読んだ。ちゃんと堪能できた。小説を読んでやっとわかったぞ!なぜあんなに

なぜあんなにつまらなそうに仕事していたのか。眠くて疲れてたからだ!相棒の刑事とウマが合ってなかったからだ!マルティン・ベックのような人物がなぜあんなぶっきらぼうに相棒に物を言うのか、やっとわかった。そして小説を半分ほど読んで映画を見直してみたら、するすると頭に入って来るではないか

これはけっこういい映画だぞ…そう思いだしたらなんと、小説を読んでイメージされるマルティン・ベックも太ったじいさんになってしまった!いやそれはやめてくれ!くそう、俺のマルティン・ベックを返せ!ちなみにラーソンはわりとイメージ通り。コルベリはまあ、ないではない、許せるかな、という感じ

ちなみにカルル・グスタフ・リンドステットは1921年生まれだから、1976年当時55歳。そんなに爺さんでもなかったのね。マルティン・ベックのそのころの設定は40代後半だから、さほどかけ離れてもいないね。ふむむ

まあだいたい、言いたい事はツイッターで書きましたね。
シリーズ続編である「密室」でマルティン・ベックが独白してますが「唾棄すべき男」のラストに自分が一人で犯人に立ち向かうのはミスだった、間違いだったと。
そうだよね、そうだよね、無理だろこれ!やめろよ!と思いながら見てたら普通に撃たれて映画が終わる。。。どーなってんだ!誰かなんとかしろ!
小説を読んだ後に映画を見たら、いろいろ感じるところもあっていいんだけど、それまでの小説シリーズから受ける印象として、リアルな捜査官の思考と操作方法・手続きを表現してたので、何と言うか、リアルっぽいものを期待してたんだな。で、マルティン・ベックが太ったじーさんで、はしごをのっそり登って行く...
その前の容疑者の実家で両親からお茶とパンをごちそうになるあたりも、不思議なふわふわした感じがあって(でも不機嫌そうなのだ)「これが捜査なの?いやスウェーデンではそうなのかも知れない..」無理に納得させて見たけど、うむむ。
原作に忠実に映像化してるから何も悪くはない、のだろうか。たぶんもう一度見ればぐっと引き込まれそうな気がするんだけれど、オレのマルティン・ベックはもうちょい若くて中肉中背なんだよ、それが書き換えられそうでこわい。

DVDはアマゾンで中古で買いました。レンタル落ち1000円弱ぐらいだったような。 


値段ばらばらだなあ。アマゾンで中古品探すと出品者によってだいぶ違うからねえ。
このプレミアムエディションがどう違うのかよくわかりませんが。

シリーズの次の小説「密室」では警察組織や社会を皮肉ってコミカルに描く方向にぐっと振れましたね。本作「唾棄すべき男」や前作「サヴォイ・ホテルの殺人」が悲劇的だったからでしょうか。

シリーズ1〜5作目までが数年前に新訳で出版されたけれど、6〜10作は中断したまんまみたい。
新訳のレビューを見ると「旧訳がよかった...」「旧訳がよかった...」くそう!お前らマニアのせいでシリーズ後半が出版されないとしたら、読みたくても読めない被害者がいるんだぞ!

「密室」の文庫で3700円!まあアマゾンは極端かも知れないけど。
文庫が高いからもうしょうがない、ハードカバー買っちゃったじゃん。

こうやってブログに書いて、インターネット上に「マルティン・ベック」の文字を増やせば、シリーズ6〜10作も新訳で出版されるかも知れない!

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