5月の一ヶ月間にアーサー・C・クラークの小説を6冊読みました。
僕にしてはかなりのハイペースです。
最初の2冊ぐらい読んだ頃に、今年の3月にクラークが亡くなっていた事を知りました。
90歳。壮年の頃から難病と共にあったようですが、大往生しましたね。
クラークほどのSF作家であれば、その他界はテレビニュースぐらいにはなったろうけれど、僕はテレビ見ないしネットのニュースサイトは一日に何度も見出しが変わるから、大きなニュースでも知らないことはしばしばある。
いちばんよく行く近所の本屋でも、3、4ヶ月は行かない時もあるから、そこで追悼セールを半年ほどやってくれないと知らないままですな。
4月に行ったけれど追悼セールらしきものはやってなかった。SFは片隅にちょこっとあるだけだからなあ。
考えてみれば昔はもっと頻繁に本屋に行ったものだけれど、ここ数年はあまり行かなくなりましたね。
・雑誌を買わなくなった
以前はPC雑誌やビデオ雑誌を買ったものだけれど、それを買わなくなるだけで、なるほどぐっと本屋に行く回数は減りますね。
・本屋からの刺激がつまらなくなった
つまらないとまでは言わなくても、以前ほどわくわくしないです。お店で表示される情報に飽きたのかな。商業施設全般に言えることですけど。
・お金がない
以前に比べたら、本に使うお金は減った気がします。経済的余裕もないし、アパート暮らしになってあまり空間に余裕がないから、やたら買ってはいけない、という意識もありますね。
・ネット通販を利用するようになった
これも大きな要因ですね。家計簿ソフトを開いてみるとこの1年半で、冊数で言うと、本屋での買い物1に対して通販は2の割合になります。
・古本屋で買う
実家にいた頃は行動圏に古本屋が少なかったけれど、東京は古本屋が多いですね。
安いからというのもあるし、その時買わないで売れてしまったらもう(その値段で)入手できないかも知れない、という気持ちがあって。
アパートの部屋は狭いので、それら古書を買ってしまうと、値段が高くて入手しやすい新刊書はあとまわしになってしまうのです。
ブックオフもよく行くけれど、それよりも、雰囲気のいい古書店はなにか買うつもりがなくても入ってしまいますね。
以前、大型の書店(新刊書を売る店)には同じように、買う予定がなくても入っていったけれど、最近それがなくなりました。
商業施設としての魅力はきれいに分類・整理された古書店の方が大きいという事ですかね。
最近では浅草の"きずな書房"がそうです。行動圏にあるので近所の本屋よりもよく行きます。今日も3冊買いました。ああ、空間の余裕が…
ちなみにブックオフはきれいに分類・整理されてないのであまり魅力は感じないです。
さて。クラークの本ですが、僕は小説として好きです。
SFとしては、どうなんでしょうねえ。あまりにもスタンダードっぽく感じられて「おお」とか「うひゃー」とか思わないけれど、ちょっとは思うけれど、それよりも小説としてしんみりできていいのですよ。
5月に読んだクラーク6冊。
「幼年期の終わり」
1953年
有名な作品ですが、読んだことなかった。長編のもとになった同名の短編は読んでました。
短編の方はアイディアが目立つショート・ショートみたいな印象でしたが、長編は…その最初のアイディアに縛られてしまって、不自由してる気がします。一部の西洋人の持つ悪魔のイメージを世界普遍のものみたいに描くのもどうかと思うし。
「海底牧場」
1957年
当時は「食糧確保のための捕鯨」を未来の主流として英米人が論じる事ができたのですね。興味深い。
クラークには鯨類保護の視点もあったろうし、実際この小説のラストはそうなってるけれど、世の中はもっと急進的・感情的になってしまったようです。
「イルカの島」
1963年
45年前の近未来小説ですが、イルカ研究についてはどうなんだろう、この小説ほど進んでいるのかな。
海好きクラークの珊瑚礁讃歌でもあります。
「2001年宇宙の旅」
1968年
有名な映画の、原作でもノベライズでもない「小説版」
クラークが映画の脚本と同時進行で書き進めたというから、その創作スタイルも気になりますね。
これはとてもいいです。映画よりもずっとわかりやすいし、映像がすぐに頭に浮かぶのでイメージもしやすい。
刺激・強烈さは映画の方がはるかに強いけれど。
「2010年宇宙の旅」
1982年
映画「2010年」の、これは原作と言っていいみたいですね。
ただし、小説「2001年宇宙の旅」の続編ではなくて、映画「2001年宇宙の旅」の続きになってます。いろいろな設定がそうなってるのです。
だから、小説「2001年宇宙の旅」をいいと思った僕としては、あれれれ、って。
映画「2001年宇宙の旅」を見て小説を読まなかった人にも、ちょっとこれはどうなんだろうなあ。説明しないでほしかったことがあっさり書かれているようで拍子抜けするのではないかな。もっともそんな人はこの小説を読まないか。
僕は映画を見たんだけど、う〜ん、まるで覚えてない。P・ハイアムズ監督の映画は好きだけど、アクションがないとね。
「遥かなる地球の歌」
1986年
僕はこういう牧歌的なもSF好きです。ユートピア小説が好きなのかな。ましてやクラーク。じんわりしますね。
マイク・オールドフィールドがこの小説にインスパイアされたらしい同名のCDアルバムを1994年に出しています。そっちは何年も前から愛聴してますが、小説はずっと読んでなかったのです。
で、小説を読んだ後にCDを聴くと、う〜ん、まるでリンクしない。なんでこんなものが出来上がったのだろう。いや、愛聴してますが。
アマゾン.co.jpでこの小説は古書しか扱ってないので、もう絶版なのかな。
しょうがないからiTunesのマイク・オールドフィールド"The Song of Distant Earth"にリンク。
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