2009年2月7日土曜日

映画「007 慰めの報酬」quantum of solace

於TOHOシネマズ西新井



「007 慰めの報酬」
Quantum of Solace
2008年 イギリス・アメリカ映画
監督 マーク・フォースター

前作がよろしかっただけに、ちょっと期待してしまいましたが、うむむ、どうなんでしょうねえ。

復讐を果たす、そのカタルシスを描く映画にはしたくなかった、というのはわかる。
007は娯楽映画なんだし、そうでなくても「復讐なら正当化」されるような風潮は映画プロデューサーにとってもイヤ気がさしていたのでしょう。
でも、じゃあ「復讐」をどうするのか、っていうのが、いまいちぱっとしないですね。
さりとて、前作の出来事をそれこそ「昔の事」にしてしまうのも、できない事なんでしょうかねえ。
一途な復讐心を、もっとさわやかな心に変換しようという狙いは立派なんですが、あまりうまくいってないね。

復讐のカタルシスはヒロインにまかせて、ボンドはあくまで"任務"というなら、もっと彼女の復讐心を強烈に描かないと。
ボンドが復讐にこだわってないかというと、そうでもないみたいだし。
どうにも煮え切らないのに、ラストはあっさりしてる。ボンドの心理の変化をもっとビジュアル的にわかりやすく示す必要があったのでは。
ことによったら、監督さえも「脚本に書いてあったから役者にそうやらせた」ぐらいな感じ?

これだったらボンドの復讐うんぬんは最初の10分ぐらいでいったん切って、後はヒロインの復讐劇を"困ったモンだ"と見ていれば、それでよかったのではないかな。

アクションについては、今回もハード・アクション炸裂で、わりと満足しています。
でも最大のクライマックスがあの砂漠の建物でというのも、なんだか昔の007みたいでちょっと物足りないですね。

ジャンカルロ・ジャンニーニが死んでしまったのは残念。
彼の死が"過去の清算"みたいな事に大きくかかわってくるはずなのに、映画はそのへんをはっきり描ききっていないのが、より残念ですね。
もっとも、今後シリーズに続いて出たとしても、したり顔で何か言うだけであればまあ、やんなくていいかな。

007としては地味な作品で、でもそれは脚本の段階でわかっていたはずだから、これは次回作への布石、必要な通過点、になるのかな。

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