2010年5月26日水曜日

映画「アリス・イン・ワンダーランド」alice in wonderland

於TOHOシネマズ西新井

Alice in Wonderland
2010年 アメリカ映画

監督 ティム・バートン

予告編は、がしがし3Dに見えたのでちょっと期待。
確かに3D効果はあった。特に、リアル世界は2Dで、ワンダーランドは3Dでという描き分けもあって(3D撮影技術的にはその方が楽みたい、というか、ライブアクションは殆ど2Dで撮ったらしい)、んまあ3D部分は面白かったです。
CGキャラクターの方が3D的に描き込める、という事もあってか、人間が演じるキャラクターよりもずっと魅力的に見えた。ウサギも、イモ虫も、蛙も魚も、極めつけにかっこいいチェシャ猫も!
もう帽子屋もフルCGでよかったんじゃないか?あの帽子屋の悲しみや混乱は、この映画のジョニー・デップ VS CGキャラだったら、CGの方がリアルに伝わって来ると思う。
アリスが大人ってどうなのよ、と見る前は思ってたけど、ワンダーランドのキャラクター群を目の当たりにしたらどうでもよくなってしまった。

しかし振り返ってみると、アリスが大人になった事でより興味深い視点ができたのかというと、別にそんな事ない。
ワンダーランドに適応できないで、これは夢だなんて言ったり、ありきたりの映画で役者が喋るような事しか喋ってくれない。

この映画の大きな不満は、根本的にフツーの映画な事ですね。

我々大人にとって興味深い「子供」の感覚と、不条理満載の「不思議の国」がミックスされてくれれば面白いけれど、そこにいるのは大人だし、世界は不条理ではなく「予言」やら「運命」やらレールが敷かれてる。
物語のクライマックスはアリスが聖剣を奪取して魔物を倒す…なんだよこれ!
話が進むほど不条理さがなくなって、三流ファンタジー化していく。
ファンタジーってこんなんでいいんだろ、女が剣を振り回して魔物を倒せばいいんだろ、という。
子供なら面白がって見るだろうけどね。

はっ、そう言えばこれはディズニー映画だから、子供向けでいいんだ…

でもディズニーアニメの「不思議の国のアリス」だって、もうちょっと不条理さは守られていたと、ぼんやり記憶している。(だからディズニーアニメの中では「不思議の国のアリス」が好きだった。今見るとどうなのかわからんけど)
それなのに、ティム・バートンが監督しているとあってはなおの事、これはどうなんだ、と思ってしまう。

なんでそんなに不条理好きなのか。
ヤン・シュヴァンクマイエルの「アリス」(1988年)が一番印象深くて、あれはもう「不思議の国のアリス」とは別物なんだろうけど(原作読んでません)、今度の映画は10年後ぐらいの話なんだし、設定上はもっとカッ飛んだ事も出来るはず。
極彩色のごった煮映画として、それはそれでシュールなアリスものを期待してたし、確かに前半はそんな希望もあった。
しかしまあ、フツーの安直ファンタジー映画に変えるぐらいしかできなかったようです。

ジャバーウォッキーが他のCGキャラと比べてリアルさがないのもいかん。しかもそれと戦うのがクライマックスだなんて。
チェシャ猫が笑うよね。

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