知らなかった、西新井は一周年という事で、今月はシネマイレージ会員常に1300円なのね。あ〜、あと数日しかない。
「イーグル・アイ」
Eagle Eye
2008年 アメリカ映画
監督D・J・カルーソ
オープニング、シャープな皮肉がズシンと効いて、引き込まれましたねえ。
あれよあれよと忙しい映画です。
それでいて双子の兄弟を失った喪失感もちゃんと描いているし、シナリオもかなり綿密に練られていて、とてもよくできています。
ダメ人生を歩んで来た自分が巻き込まれる必然性と、兄弟を失った喪失感と、ミステリアスなアクションが起こる理由、それらをまとめて描ける設定と、設定を活かしたシナリオが素晴らしい。
これだけ魅力的な設定でも、いろいろ事情はあるにせよ、ヘタレシナリオの駄目映画になってしまう事は多々ありますからね。
後で落ち着いて考えると、まったく穴がないではない。アリアにとって主人公を生かして自分の前に連れてくる必要があったわけで、そうなるとあんな危険な事をさせるのはどうなんだ?
でもそんな些細な事は、映画を見ている間は気にならない。
映画に押されて引っ張られ、翻弄されっぱなし。
映画が終わるまでにたいていの疑問の答えが提示されるので、後になってから、あれはどういう事だったのかと考えなくてもいい(ような気にさせられる)。
考えるのがもったいなくなる高揚感と疲労感がある。
演出のタッチ自体は「新しい才能発見」とは感じられないけれど、そうは言ってもアクションが多くて忙しいこの脚本で、これだけ人物描写ができるのは高得点ですね。
でもそうなると、ここまでやってくれるなら、もっとやってもらいたいと思ってしまう。
特に兄弟について、人間内面のファンタジーをもっと、リアルな感覚がベースになってる映画なればこそ、リアルさを優先させずに描いてくれたなら、もっと人間的なテーマを(大統領と閣僚暗殺なんかではなく)印象付けられたのではないかと。
アクション、ミステリー、ドラマ、それらの描写と脚本すべてがよくできているので、円グラフが丸くなって何か突出したものがなく、かえって平坦な印象で記憶に残りにくいかも。
コンピュータ「アリア」のデザインが、狙ってるんだろうけど"昔懐かしいSF"風で、ちょっと嬉しくもあり、恥ずかしくもあり。