2008年10月5日日曜日

落語の土地に行ってみる 日本橋中州 rakugo:nakasu

落語「夢金」
欲張りだけどかわいげのある船頭が、船の上で浪人者から殺人をもちかけられる。
一緒にいるこの娘を殺して金を奪おう。
どうせ断ったって自分が切られるだろうから、話にのったふりをする。
「船の上でそんな、刀振り回されて血が流れるってえと、後で掃除が大変だ。それよりもあの中州でもってやれば、そのうち上げ潮になって死体は流されちまってわからねえ」
うまく浪人を言いくるめて、浪人だけを先に中州に降ろしたところで、船から竿を張って逃げる。
どうやら浪人は泳げないらしいので、船頭ここぞとばかりに罵詈雑言をあびせる。

このような話なので、中州だったらどこでもいいんだろうけれど、だいたいの落語の解説書には、今の中央区日本橋中州にあった、隅田川の中州になってます。(以前中州だったから地名が中州)

今は普通にマンション街になってます。


清洲橋(江戸時代にはありませんでした)のたもとから下流を見て。ここが中州だったのか〜。


神社がありました。
こんぴら様系神社です。碑文によると、明治になって中州が埋め立てられて建立されたそうです。その後関東大震災などあって、昭和29年に再建されました。


はてこの中州、江戸時代、お店があったりして盛り場にもなってたとかいう記述を別の本で読みましたが、満潮のたびに沈むような中州だったら、常設の店が出るわけがないよね。
江戸時代と言っても長いから、後期になるほど埋め立てが進んで、盛り場になったのかな。
別の中州かな。
いや、上の写真の神社も、商売人の集まりが建立したようだから、明治の当初は商業地として見込まれていたのでしょう。
今はオフィスや倉庫はあっても、商店街らしいものはありませんね。

中州という刹那性と開放感が、盛り場としての吸引力になっていたのでしょうか。
中州だから誰が住むわけでもなく、誰の土地でもなく、雨が降り続いて水かさが増えたらすべて流されてしまう(実際にはそこそこ埋め立てられて、滅多にそんな事にはならないとしても、誰もがそんな"危機"をおもしろ半分に想像するのでは)、そんなところに縁日でもあったら、たしかにわくわくしますね。
きっちり埋め立てられて誰かの土地になったとたん、魅力がなくなるというのはわかる気がします。

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