2008年10月18日土曜日

映画「ダークナイト」the dark Knight

於TOHOシネマズ西新井

けっこう前に見ていたのだけれど、なんとなく書きそびれてました。
もう記憶が…

「ダークナイト」
The Dark Knigth
2008年 アメリカ映画
クリストファー・ノーラン監督

久しぶりにエリック・ロバーツを見たなあ。
それはともかく、なんだか皆さん苦悩なさってますねえ。
どうせアメリカ映画なんだから、最後はガチンコでしょ?そんなに悩まなくったって。
と思ったらこういうラストですか。これならこの映画の長さ(152分)もわからないではない。

しかしこの映画が心情的に納得いくものかというと、そんな事もないなあ。
この映画自体もキャラクターも、「苦悩することに酔っている」みたいで、見ているこちらとしては一歩引いてしまう。

ジョーカーというただ一人の極悪人が特に問題で、そいつが突然変異的に現れたのであれば、力で排除してしまえばそれでいいはず。
それをやりたくてもできないのは、突然変異的ではなく、自然発生的に出現したからで、犯罪に対処するのではなく根源の問題をどうにかしなければ、、ってそれはアメコミヒーローの得意仕事じゃないから、悩んでる、のかな。

それにしては、自然発生的な犯罪者にしては、ジョーカーがやること、規模とタイミングが完璧すぎる。
あんなのバットマン並みに非リアルな犯罪者でなければできないでしょう。この映画で提示されてるようなショボい組織ではまず無理。
「ダイ・ハード」シリーズの悪者連中のような、それなりの組織と潤沢な資金が必要なはず。(資金はジョーカーさん、途中で札束燃やすふりしていくらかキープしたのかも知れないけれど)
それなら「ダイ・ハード」シリーズと同じように悪者を排除してしまえばそれでいいはずなのだが、排除できないようにシナリオがリードしてるようで、どうも釈然としない。

シナリオにもっと説得力が欲しい。言わんとすることは分かるのだけれど、もっとビジュアル的な、巧いうったえかけがないと「はあそうですか」としか思えないのだなあ。
バットマンもなんだかんだ言ってわがままなだけじゃん、とか思ったり。
そのわがままを貫き通すところで、この映画がウケているのかな。
僕としては悩んでわがまま通すよりも、悩まずに通す方がかっこいいのだが。

アクション映画を見すぎたせいで、悪者はこれくらい完璧なタイミングで事をおこして当たり前だ、と多くの観客は思うのかも知れない。
でも僕は、いかにもアメコミなヒーローでもリアルな苦悩を描くなら、リアルな街とリアルな犯罪過程を描くべきだと思うのだなあ。
ジョーカーという"個"が突出していて、普遍的な犯罪やテロを描いている気がしない。

マニア的には評価の高い映画のようだし、ひいきのC・ノーランが大ヒット飛ばした映画だから、それなりに「嬉しい」という気持ちさえあるけれど、それ以上のものはないなあ。

「世界のために、世界の嫌われ者になってやる」こうなるともう、ピントのずれた苦悩が暴走してるようにしか思えない。(しかもそれに酔っている)
現実世界のアメリカもこうなりつつあるのかな。

音楽がよかった。ハンス・ジマーとジェームズ・ニュートン・ハワード。
前作「バットマン・ビギンズ」もこの二人だったようだけど、まるで覚えていない。
でも本作はズシンと来ました。サントラ欲しくなっちゃうねえ。

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