DVDで定価780円ってどうなのよ。
通販サイトで見るジャケット画像からしてもう、マスターの悪さが予想できますね。
でもいいや、他にDVDでソフト化されてないようだし、780円だもんね。
「さらばバルデス」
CHINO
1973年 アメリカ イタリア フランス映画
監督ジョン・スタージェス
このDVDはアメリカ版みたいです。はるか昔にマスタリングされたのでしょう。
なるほどこれはひどい。
音もあまりよくないな。
僕は初めて見ましたが、悪いマスターでもすぐに好きになりました、この映画。
ジョン・スタージェスの映画としては、ダイナミックなアクションや男臭いやりとりがあるわけでもなく、不評なのもわからないではない。
けれど一説によると、実質的な監督はスタージェスではなくてドゥイリオ・コレッティらしいです。
たしかに、映画っぽく作られた世界ではなく、自然の光や動物を利用しているあたりはあまりスタージェスらしくない。ハリウッド映画に比べたら、現場での低予算っぷりもうかがえる。何か事情があって、スタージェスはホテルでふて寝でもしてたんでしょうかね。
でもそのおかげか、この映画にはちょっとさわやかでかわいい、不思議な印象があります。
チャールズ・ブロンソンとヴィンセント・ヴァン・パタン、ブロンソンとジル・アイアランド、それぞれのやりとりがどことなく微笑ましくて、心なごみます。
ジル・アイアランドの乗馬姿をさんざんなじっておきながら、風呂に入ってるところを見られると恥ずかしがるブロンソン。
ブロンソンが女と結婚すると言い出したら、ブロンソンを慕っているヴィンセント・ヴァン・パタンがさみしそうな顔したり。
ブロンソンの役名がチノ・バルデスなので、タイトルを変えて「さよならチノ」ぐらいにしてもいいんじゃないかなこれは。
ラストに銃撃戦はあるものの、適当なところで切り上げて「オレはこの土地を出て行く」ってブロンソン、あまり映画のヒーローっぽくないけれど、飄々としたキャラクターらしいとも言えるし、無用な殺傷はしたくないとしたら、リアルにこういう選択もありでしょう。
むしろ少年との別れがあっさりしてる方が僕にはフラストレーションかな。
あの後、ジル・アイアランドと駆け落ちするのかな。。
ジョン・スタージェスという名前を冠したばっかりに、かえって不当な評価を受けている気がします。
それにマカロニウェスタンとしても認知されないし。
いちおうアクションシーンはあるものの、最小限ですね。
それよりも、人物と人物の結びつきややりとりを描いて、どこか爽やかな魅力ある映画にしようという意図がうまく働いています。
ドゥイリオ・コレッティについてはまったく知りません。
1950年代にイタリアで戦争映画を多く作ってるようですが、どれも今は見るのも難しいみたい。
マカロニウェスタン全盛の頃にはもうあまり監督してないようなので、現場で若い監督に才能発揮させるために、裏方にまわってたのでしょうかねえ。
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