2008年1月21日月曜日

DVD「ウエスタン」
once upon a time in the west


セルジオ・レオーネの十八番、オペラマカロニの極点。

「ウエスタン」
ONCE UPON A TIME IN THE WEST
1968年 イタリア・アメリカ映画
監督セルジオ・レオーネ

アメリカ資本でアメリカのスター俳優が主演してるから、これがマカロニウエスタンかというと微妙な気もするけれど、オペラなみにシンプルなストーリーにレオーネのねっとり映像、モリコーネの音楽、どっからどう噛んでもマカロニの味がする。



子供の頃にテレビで見て、その時は途中で寝ちゃった気がする。
めまぐるしい暴力がないマカロニですから、子供にはつまんないですよね。
大人になってレオーネ美学がわかるようになってから、ビデオで見ました。
かなり感激しました。すげえ!って。
何が凄いって、ヘンリー・フォンダですよ。
コイツ、絶対に悪党だ!というオーラがあのヘンリー・フォンダから発せられるなんて。
ブロンソン目当てで見たけれどヘンリー・フォンダに圧倒されました。

それから10年以上経ったかな。
久しぶりにまた見てみました。
よく見りゃブロンソンもかっこいいじゃん(オイオイ)。
でもやっぱりヘンリー・フォンダだなあ。なんでもない台詞に重みがある。
クラウディア・カルディナーレとのからみのシーンなんか、他の役者じゃあこれだけの存在感、存在感からくる緊張感はないでしょう。


ヘンリー・フォンダ。でもこの写真はあまりワルっぽくないなあ。

レオーネ節炸裂の本作、特にオープニングのねっとり攻撃はたまらない。
最初の1時間でやっとある程度の状況説明がなされるスロー時間。実時間ではなくてこの映画固有の時間の中を悠然と泳ぐレオーネ。
そのままでいてくれてもよかったんだけど、マカロニですから、謀略とか裏切りとか、かけひきなんかがあったりして、でもあんまりそのへんに興味を集中できなくて、それくらい"美学炸裂"シーンが強烈だという事なんだけど、ドラマとレオーネ美学とがなにか違うレベルで進行してて、うまく交差してない気がするんですね。
ブロンソンがある状況ではフォンダの味方をするんだけど、それはマカロニっぽいシナリオで定番みたいなノリなんだろうけど、後の強烈な復讐感からすると、そのゲームにもかなりの壮絶さが必要になってくると思う。でもそうでもなくてなんとなく普通のドラマ。
「夕陽のガンマン」のイーストウッドとクリーフみたいに、敵なんだか味方なんだかというテイストが欲しかったんだろうけど、そもそもこの映画のレオーネ節はそんなレベルじゃない。
もっと他の、今までのマカロニとは違う、今までの映画とは違うレベルにいるので、いかにもシナリオライターがマカロニっぽく考えましたみたいなドラマでは、そもそもの発想が貧困かも知れない。
ちなみに原案はレオーネ、ベルトリッチ、アルジェントというとんでもない顔ぶれ。なのに。才人が集まればいいってもんでもないのか。

カットされた部分が多いのか、カルディナーレの心情や状況の変化が説明されきってなくて、あれ?と思うところがあるのもつらいですね。(カットされない場合、なんじゃそりゃ〜みたいなツッコミが入るのかも知れない…)


スペイン版ポスター


フランス版ポスター


イタリア版ポスター。えらい!ブロンソンですよやっぱり。
なんだか怖そうだけど。

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