ラベル ポーランド の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ポーランド の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2007年9月30日日曜日

映画「鉄の男」Człowiek z żelaza

於東京国立近代美術館フィルムセンター小ホール
ポーランド短編映画選の参考上映です。短編じゃなないからね。

「鉄の男」
Człowiek z żelaza
(153分・35mm・カラー)
1980年 ポーランド映画 アンジェイ・ワイダ監督
有名な映画だけど、あまり見る機会がないですね。
時代をくっきりと切り抜いた映画。
ポーランドの自由労組「連帯」の活動の高揚期に製作されています。
日本のニュースでも日々報道されていたようですが、僕は子供だったので「連帯」という言葉以外はあまり覚えていません。

映画によると、連帯と政府の交渉が成立したのが80年夏で、この映画の製作年が80年だから、現実と同時進行で映画製作も進んでいたのでしょう。
もっとも、「連帯」は80年にひょこっとできたのではなくてその何年も前から組織作りをしていたし、今回の蜂起は戦車で潰されておしまいにならないようにしていたろうし、そうならない見込みがだんだんと立ってきていたのではないかな。
しかしそうは言っても、力で潰される心配、運動が挫折する可能性はあったろうし、そうなったらこの映画の公開もできない、製作も途中で打ち切らざるを得ない、そんな覚悟もあったでしょう。
実際に1981年に戒厳令が敷かれ、連帯運動もワイダの活動も大きな影響を受けたようです
1981年に西側映画祭でグランプリを受賞してるというのは、ポーランドの民主化運動に対する西側のプロパガンダもあるだろうけど、映画を見た人がポーランドの現状を心配してしまう、彼らを負けさせてはならない、という気にさせてしまうパワーのある映画なのですね。

恋愛映画としての美しさもあるけれど、そのストーリィ面は前作「大理石の男」(1977)の続きになってる。でも見てないんだな。
「大理石の男」も民主化&労働者映画だろうけれど、恋愛映画として見るならそっちを先に見た方がいいみたい。

見ていて音楽を思い出しました。
昔、FMの映画音楽番組で聴いた事がある。テープに録って何度も聴いたんだ。
挿入歌とテーマ曲(愛のテーマ?)。
FM聴いてたくらいだから、小学生じゃないね。してみると、日本で公開されたのは85年頃かな。




検索してみつけた記事。産経新聞のwebサイトより
新ポーランド考 民主化が映画界を低迷させた
http://www.sankei.co.jp/kokusai/europe/070305/erp070305001.htm

2007年9月21日金曜日

ポーランド短篇映画選 Poland
ポーランド短篇名作選集1

於東京国立近代美術館フィルムセンター小ホール
ポーランド短篇映画選 ウッチ映画大学の軌跡
ポーランド短篇名作選集1

イウジャ産陶器
Ceramika iłżecka
(9分・35mm・白黒)
1951年 アンジェイ・ワイダ監督

陶器の名産地を紹介する「文化映画」
アンジェイ・ワイダの習作だそうです。こういう課題みたいなもんがあるのかな。
映画学校にはもってこいだろうねえ。でも作り手が若いとすぐ何かしら新しい要素を入れそうで、そのコントロールがまた学習ですかね。
オレも作りたいな。
今でもこういう「名匠の技」みたいな映像は作られてるだろうけど、すぐには評価されなくても後々資料として評価されれば、作る側としても悪い気はしないですね。

役所
Urząd
(6分・35mm・白黒)
1966年 クシシュトフ・キェシロフスキ監督
役所にカメラを持ち込んで、年金受給について相談にくる老人達と、紋切り型でしか応対しない係員とシステムを描いたドキュメンタリー。
トークイベントでのアンジェイ・メリン氏によると、キェシロフスキは学生の頃からこういった社会性のあるテーマを追い求めていたそうです。
へーえ、むしろ後に作る映画は個人の内面をテーマに描いているように見えるけど、たしかに「社会の中の個人」という視点もくっきりしてますね。

グーチャ
Gucia
(16分・35mm・白黒)
1985年 ドロタ・ケンジェジャフスカ監督
すごい。映像ならではのファンタジーを作りましたね。
学生の映画でこんな、子役をくっきり描くのアリ?
カメラの前で子供に何をさせるか、そうするためにはどうすればいいか、知らない世界ですよ。
気になるね。この人の映画もっと見たい。
見たいだけでなくやりますね、10/13から「僕のいない場所」シネマ・アンジェリカにて、ってどこだよそれ!

ドロタ・ケンジェジャフスカ監督2005年作品
「僕のいない場所」公式サイト
http://boku-inai.jp/
あ〜、オレの環境では予告編見れねー!
場所は渋谷ですか。地図みた感じだと、この映画館行ったことあるねたぶん。名前が変わったんじゃないかな。

上映後に行われたウッチ大学学部長アンジェイ・メリン氏のトークによると、ワイダやポランスキは30年代からのドイツによる占領、戦後のスターリン主義による圧政を経験していて、そのたがが外れた50年代にポーランド映画は華ひらいたそうです。
その後の隣国でのプラハ動乱や"連帯"の成功と挫折がポーランド映画にいかに影響しているか、熱く語っていました。
なるほど20世紀はポーランドにとって動乱の世紀。いや、ちょっと調べれば19世紀も18世紀も動乱してばっかりなのがわかる。そんなお国なのですね。

メリン氏のトークによると、ウッチ映画大学は創設時から3つの大きな方針があったそうです。
1.映画の技術を教える。工業学校などと同じように技術が重要である。
2.映画は人間を描くのだから人間について学ばなければならない。
3.映画は芸術である。

3の「映画は芸術なんたら」については、どこの映画学校でもそういった表題は掲げているだろうけど、実際、卒業生にとって商業映画で成功する事を目標にさせていたらそうはならないだろう。
しかし作品を見ると、確かに3つとも実践されているだろうと思える。
カメラマンも学生なのかな。映画の芸術性を追求することであれだけの撮影技法を習得するのかな。すごいな。

ポーランド短篇映画選 Poland
前衛作品・視覚芸術作品選集

於東京国立近代美術館フィルムセンター小ホール
ポーランド短篇映画選 ウッチ映画大学の軌跡
前衛作品・視覚芸術作品選集

小ホールに入ったのは初めてです。
キャパ150、下手なミニシアターよりも立派なもんすね。
見たのは昨日です。けっこう入ってましたね〜。平日の昼間だってのに、100人ぐらい来てたかな。

フィルムセンターポーランド短編映画選のサイト
http://www.momat.go.jp/FC/Cinema2-PolishShort/kaisetsu.htm
前衛作品・視覚芸術作品とは言っても、さほど前衛でもないですかね。
台詞がないからこういうくくりにした、という事はあるかもしれない。

今回上映された短編は、ウッチ映画大学の学生が作った映画ばかり、なのかな。そうみたい。
ウッチはポーランドの地名で、ワルシャワに次ぐ大都市だそうです。
学生が作った映画だから、つまんないのもあるだろうなと思って行ったのだが、すごい完成度の高い作品ばっかり!ウッチ恐るべし!

夜の上映が終わってからトークイベントがありました。
大学学部長のアンジェイ・メリン氏によるトークです。
そんなイベントがあるとは知らずに行ったのですけど。
せっかくポーランドから来てもらったのに、話を聞かないで帰るのも失礼かな〜と思って拝聴しました。
それによるとやはり、学生が学習のために作る映画だから、多くはひどい出来だそうです。
今回上映されるのは選りすぐった良いものであると。

天使たちが堕ちるとき
Gdy spadają anioły
(20分・35mm・パートカラー)
1958年 ロマン・ポランスキ監督

ポランスキの卒業制作ってことはやっぱ学生が作ったんだな。
才能がすごいとか、演出力がどうだとか、撮影技法がどうだとかそれだけではなくて、美術、セット、役者、衣装、などなど、これには多くの人がエネルギーを注いでいるはずで、その情熱の高さと人数の多さが凄い。
考えてみれば、金にならない短編映画を時間と労力かけて作るなんて、映画学校でなきゃできないだろうなあ。
ところで西洋では係のおばあさんがトイレに常駐してるのって、普通?
ああ、チップをもらってるんだ。そうね、だれもいないとチップ置いて行かないものね。そうでもなきゃトイレの維持費を捻出できないのかな。

司教の死
Śmierć prowincjała
(28分・35mm・白黒)
1965年 クシシュトフ・ザヌーシ監督
これも美しい映画でした。後でふと思うに、あの司教さんたちは本物?役者?
普通に考えると役者に決まってるけど、学生の映画だと思うと…。

静寂
Cisza
(13分・35mm・カラー)
1997年 マウゴジャタ・シュモフスカ監督
自然の光(と思われる)で農村を撮影した、説明のないドキュメンタリー。
トークイベントで言っていたけれど、ポーランドの映画人でハリウッドに輸出されるのは、カメラマンが多いそうです。
そうだ、どれもこれもカメラマンの水準の高さによるところが大きいぞ。

2007年8月25日土曜日

映画「おやすみ、クマちゃん」Miś Uszatek

於東京都写真美術館ホール

映画じゃないんだけど、劇場のスクリーンで見ましたから。
70年代のポーランドの子供向けテレビ番組です。人形アニメです。

8分程度の短編を10本。
クマちゃんが「今日、こんなことがあったよ」とエピソードを話して、最後はおやすみなさいとベッドに入る。
おそらくポーランドではこの番組を見ないと子供が寝てくれない、ぐらいの人気があったのではないかと。

クマちゃん衣装持ちですね!毎回パジャマが違うじゃん!
パジャマ以外の服も毎回違うし、けっこうおしゃれですよ。
なんか知らんけど、見ているうちにクマちゃんの服を見るのが楽しみになってしまった。
でも春夏は上半身裸もあり。(夜は必ずパジャマ)

服だけでなく、全体の色彩も美しく、質感もいいです。特に秋の紅葉、落ちてくる葉っぱがいいすね〜。

料金1800円というのが、ちょっと高いんじゃないの?と思います。写真展の半券で割引されたけど。
東京都写真美術館って公営のものだろうから、もっと安く上映できるだろうのに。
東京近郊では写真美術館だけでしかやってないけど、他の都市は普通の映画館なのかな?だから料金を安く設定できなかったのかな。
別に、最新VFXがないから、時間が短いからもっと安くしろと言ってるのではなく、もっと子供がいっぱいいる環境で見るものなんだな、本来。
夏休みの土曜日なのに、子供があまりいなかった。大人も少なかったけど。
写真美術館はたしかにあまり子供ゾーンじゃないからね。
少なくとも制作者たちは美術館で1800円で上映なんて想定してなかったはず。(テレビ番組だってば)
もっと安く、子供がいっぱいいるゾーンで上映して、何も知らないで来てふらっと入れるのが理想。

そうは言っても、70年代ポーランドのテレビアニメなんて、人形アニオタ以外にどれだけウケるか予測しにくいだろうし。
日本で公開できただけでもよしなのかな。
いや、テレビ番組だから、放送かDVDが本来で、たぶんいずれDVD発売されるでしょう。
そう考えると、劇場なんて上映できればどこでもいいということかなあ。

「おやすみ、クマちゃん」公式サイト
http://oyasumi-kumachan.com/index2.html

ところで、10分以下ということは、やっぱりYouTubeにいっぱいUPされてました。
Mis Uszatekで検索するとよいですよ。
お〜原語版はおっさんの声なんだ〜。