2007年8月23日木曜日

夏休み特別企画 戦争映画特集
DVD「砲艦サンパブロ」 the sand pebbles

戦争映画とは違うかも知れないけれど、海軍が舞台になってるし、戦闘シーンもあるので。
時代の波に翻弄される人々を描いたヒューマン・ドラマって言うんですか。

「砲艦サンパブロ」
the sand pbbles
1966年 アメリカ映画 ロバード・ワイズ監督

しかし海軍とは言っても、大河を航行する船なので、ぱっとイメージされる戦艦とか空母とかは出てこない。
1926年、動乱期の中国が舞台になってます。共産党と国民党の内乱下にあって、排斥される西洋諸国。
諸外国も人民から嫌われるくらいえげつない事をやってるんでしょうけど。
砲艦外交という言葉が残ってますが、それがこの映画に出てくる砲艦なのですね。
砲艦外交だから、でかい大砲でおどしをかける、力でゴリ押しする外交かと思いきや、違ったみたい。

僕もDVD見るまでは知らなかったけど、砲艦ってこういうものか〜。
大砲などの「砲」は見当たらなくて、遠目には客船みたいにも見えます。
gunboatを訳して砲艦だから仕方がないのかな。武装してるとは言っても、小銃と、機関銃と、ラスト近くになってやっと大砲?が出て来た。それにしたって中国の国民党軍(の学生軍?)の大砲よりかは強力、という程度。
「艦」じゃなくて「艇」いや、モロ「船」ですね。

Wikipediaによると、砲艦の狭い定義のひとつとして
武装は比較的少ないが、強力な通信・指揮能力を備えており、単独での活動が行える哨戒任務に重きを置いた

とありまして、それがズバリこの映画の砲艦にあたるようです。
軍事力を背景にした外交活動も行っていたという事で、そんなものが自国の河川をウロウロしていたのだから、たしかに中国の主権はかなり限られていたようです。

おそらく映画のタイトルとしては「砲艦」を付けた方が景気が上がっていい、力強い感じでいいと思っての事でしょうが、そんな映画じゃないんだなあ。
登場人物がみなどっかしら屈折してて、映画自体もスカっとしないのです。アクションもあまりないし。
もっとアクションしろとかハッピーエンドがいいとか言わないけれど、結局映画が何をテーマにしてたのかよく分からない。
わからない事もないけれど、うまく伝わってこない。
屈折してるならしてるでもいいけど、もっと感情が煮えたぎって欲しい。
不満足な状態を仕方なしとしながら、気がついたら死地にいて、もっと居心地いい世界のはずなのに、とか思いながら死んで行ったんですかねえ、マックイーンは。
マックイーンが死ぬことのドラマ上の必要性が感じられない。別パターンのラストもあったのかな。そこではR・クレンナがもっと壮絶に散って行ったのだろうなあ。
R・クレンナもそれなりに演技してるけど、やはり屈折しててすっきりしない役です。何かが彼の中で変容する瞬間が見たかったし、マックイーンはあのままでも、生き残って欲しかった。

3時間の長い映画で、途中「休憩」が入ります。
しかし、エピソードひとつひとつは、たとえば70点とか80点の出来でも、それをつなげて見たところで、だから何?という感じ。家でゴロゴロしながらだから見れたけど。
映像は美しいです。香港と台湾でロケしたとか。そのロケ撮影から、当時の中国ってこんなだったろうなあという、雑多な感じとのんびりした感じが出てます。
音楽はJ・ゴールドスミス。ラスト30分になってやっと戦闘シーンですよ。ゴールドスミスの音楽はアクションに合うねえ。ああやっと溜飲が5ミリぐらい下りた。

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