その昔、新宿のシアターアプルで見ました。二十歳ぐらいの頃かな。
「ヴェラクルス」
1954年 アメリカ映画
ロバート・アルドリッチ監督
あんまり覚えてないんですけどね。
もうすでにマカロニの"どぎつい"ウェスタンを見慣れていたので、「2大スターによる虚々実々のかけひき」みたいな事言われても、ふ〜んこれがそうなのかねえ、ぐらいにしか思わなかったような気がする。
最近バート・ランカスターがブームなので、再見してみました。
まあ映画のおっとりした感覚は否めないけれど、いいですよ。何がいいって、バート・ランカスターがいい!
「キショー!やられたぜ!」という歯をむき出して笑うあの顔がいい!
悪党なんだけどカラッとしてて憎めない。映画の生命力のかなりの部分をバート・ランカスターが負っている。
ヘクト=ランカスター・プロダクション作品でありながら、ゲーリー・クーパーというスター俳優に花をもたせる、これはランカスターとしても意欲作だったと思われる。
しかしゲーリー・クーパーは、う〜ん、ちとヤサ男すぎたのではないかな。
ランカスターのむきだしのギラギラ感に対して、秘めたるギラギラ感があるような、別の役者がよかったんじゃないかなあ。
後に男映画の巨匠になるアルドリッチの初期の作品。
E・ボーグナインやら若きブロンソンやら"男顔"も出てますが、やはりまだこの頃は映画会社の方針そのままのようです。
だってあの馬車と騎兵が横一列になって平原を駈けるシーン、いらないじゃん。もう危機は去ったんだし。あれっていかにも映画会社が欲しがりそうな"スペクタクル史劇"なカットだね。
ラストの対決も、ランカスターの感情をもうちょっと、もう1秒ぐらい、カラッとしたのでも見せて欲しい。
クーパー側に至っては、なぜあんなふうに唯一の友達と殺し合わなきゃならないのか、感情を共有できない。
わからない事はないけれどね。ちゃんと説明してるし。でも「あれはメキシコ人民の金だ」ってそんな優等生的な事をいまさら言われてもねえ。
それにしては正義の為にギラギラしてるようでもないし。
なんだかクーパーを見てると「殺したくないのに殺してしまった。本当は金なんかどうでもいいのに」と思ってるかのようで、そんなふうに殺してしまうにはあまりにもランカスターのキャラクターはもったいない。
あるいはランカスターが一線を越える瞬間がはっきりとあればいいのかも。
ランカスターが一目で気に入る伯爵夫人が、ぜんぜん美人じゃないんですけどいいんですかね。
アマゾンは定価ですね。町のお店に行くともっと安く売ってたりします。あるいはこのフォックス・ジャパンのスタジオ・クラシック・シリーズは在庫処分のために安くなってる気配があります。そうなるともうすぐ生産中止?いや、パッケージを新しくしてまた売るでしょう。
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